仕入控除税額が事業実態を反映しない場合の税額計算

仕入控除税額の計算に使える「課税売上割合に準ずる割合」とは?
消費税の仕入控除税額を「個別対応方式」で計算する場合、課税売上と非課税売上の両方に関連する費用(共通仕入れ) については、通常「課税売上割合」を使って控除額を求めます。
しかし、事業の実態によっては、課税売上割合での計算が実態を正確に表しにくいケースもあります。
そのような場合に利用できるのが 「課税売上割合に準ずる割合」 という仕組みです。
なぜ「準ずる割合」が使えるのか?
共通仕入れの中には、事業の内容から見て 課税売上割合よりも別の指標のほうが合理的 に按分できるものがあります。
たとえば、
- 実際の作業量
- 使用した面積や時間
- 人員の従事状況
などの方が、課税売上と非課税売上の実態をより適切に反映する場合です。
こうしたときに限り、税務署長の承認を受けることで、課税売上割合の代わりに「準ずる割合」を採用できます。
「課税売上割合に準ずる割合」の算定方法
準ずる割合として認められる基準は、共通の課税仕入れの性質に応じて、以下のように合理性があることが求められます。
使用人・従事日数に基づく割合
従業員がどれだけ課税業務・非課税業務に関わったかを基に算定。
使用人・従事日数に基づく割合
使用した資産の価額、使用量、使用面積などを基準に按分。
その他、共通仕入れの実態を適切に反映する指標
仕入れ内容の性質に合うことが前提となります。
区分ごとに別々の「準ずる割合」を使うことも可能
準ずる割合は、事業全体で1つに統一する必要はありません。
次のような区分ごとに、別の準ずる割合を設定して構いません。
- (1) 事業の種類ごと
- (2) 費用の種類ごと(販売費・一般管理費など)
- (3) 事業場単位ごと
また、「この事業場は課税売上割合を使う」「別の事業場は準ずる割合を使う」といった組み合わせも可能です。
重要なのは、それぞれの区分において合理的な基準が確立されていることです。
準ずる割合を適用するには税務署の承認が必要
準ずる割合を使いたい場合は、「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を事前に提出し、税務署長の承認を受けることが必須です。
提出期限
- 適用を受けたい課税期間の末日まで に申請書を提出
- その翌日から1か月以内に税務署長の承認が出た場合、その課税期間の末日に承認があったものとして取り扱われる
承認審査には一定期間がかかるため、実務上は 余裕を持った早めの提出が推奨 されています。
まとめ
- 個別対応方式では、共通仕入れは通常「課税売上割合」で按分する。
- ただし実態に合わない場合は、より合理的な 「課税売上割合に準ずる割合」 を使用できる。
- 人員・資産の使用状況など、仕入れの性質に応じた指標を用いることが必要。
- 区分ごとに異なる準ずる割合を適用することも可能。
- 適用には税務署長の承認が必須で、申請は早めに行うべき。
この記事は2025年3月に書かれたものです。
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