令和7年度税制改正:電子取引データ保存制度・e-Tax要件見直しのポイント

令和7年度税制改正:電子取引データ保存制度・e-Tax要件見直しのポイント
令和7年度税制改正では、納税環境の整備を目的として、電子取引データ保存制度の見直しやe-Taxの利用促進、添付書類の簡素化などが盛り込まれています。
経済社会のデジタル化に対応する改正内容となっており、今後の税務手続に大きく関係する重要な改正です。
1. 電子取引データ保存制度の見直し
改正の背景
取引から会計・税務までの一連のデジタル化を進めるため、電子取引データの保存要件が見直されました。
適切な電子保存体制を整えることで、重加算税の対象から除外される仕組みが導入されています。
重加算税が除外されるための要件
電子取引データに隠蔽・仮装行為があった場合、本来は10%の重加算税が課されます。
しかし、以下の要件を満たした場合にはその対象外になります。
- 国税庁長官が定める基準に適合する「特定電子計算機処理システム」を使用すること
- 電子データの改ざん防止措置が講じられていること
- 適正な記帳の確保ができること
- 電子取引データと電子帳簿の関連性を相互に確認できる状態で保存していること
この改正は、令和9年1月1日以後に法定期限等が到来する国税から適用されます(所得税は令和9年分以後)。
2. e-Taxにおける添付書類のイメージデータ提出要件の緩和
e-Taxでスキャナやスマートフォンにより読み取ったイメージデータを提出する場合、従来は「フルカラー・PDF形式」が必須でした。今回の改正により以下のように緩和されます。
- グレースケールでの読み取りが可能に(令和7年4月1日施行)
- JPEG形式での送信が新たに追加(令和10年1月1日施行)
これにより、より柔軟な方法で添付書類を電子提出できるようになります。
3. 控除証明書の提出簡素化
所得税の確定申告において、生命保険料控除などの控除証明書の提出が求められていましたが、改正により証明書の代わりに明細書の添付が可能となります。
この取扱いは、令和8年以後の確定申告書を令和9年1月1日以後に提出する場合から適用されます。
4. 国税関係手続のさらなる簡素化
国税庁では納税者の利便性向上のため、国税関係手続の簡素化を継続的に進めています。他の行政機関との情報連携等により、確認可能な情報については添付書類の提出が不要となっています。
すでに添付不要となっている主な書類
- 給与所得・公的年金等の源泉徴収票
- 上場株式配当等の支払通知書
- 相続時精算課税の贈与税申告における住民票の写し
今後もe-Taxの利用促進を含め、ペーパーレス化や利便性向上を推進する方針とされています。
以上が、令和7年度税制改正における電子取引データ保存制度などの主な見直しポイントです。
この記事は2025年12月に書かれたものです。
内容が最新の情報と異なる可能性がありますのでご注意下さい。

