事業用資産の買換え特例の適用の注意点

事業用資産の買換え特例を適用する際の注意点

事業用資産の買換え特例は、一定の要件を満たせば譲渡益の一部への課税を将来に繰り延べることができる制度です(※譲渡益そのものが非課税になるわけではありません)。
ただし、この特例を利用するためには、買換資産の取得時期に関する厳格なルールがあるため注意が必要です。

1.特例適用の前提:買換資産は「取得期間内」に購入すること

事業用資産の買換え特例を適用するには、次のいずれかの期間内に買換資産を取得する必要があります。

  • 資産を譲渡した年
  • その前年
  • 譲渡した年の翌年

この期間内に買換資産を取得できなかった場合、原則として特例は適用不可となります。

2.取得期間内に買換資産を取得できない場合の救済措置

計画通りに買換資産の取得が進まない場合、やむを得ない事情が認められれば、税務署長の判断により買換資産の取得期間を延長できます。

2-1. 取得期間延長が認められる「やむを得ない事情」

次のいずれかに該当する場合、取得期間の延長(取得指定期間の設定)が可能です。

  1. 工場等の敷地造成や建設移転に通常1年以上を要する場合
  2. 法令の規制等により取得計画の変更が必要となった場合
  3. 売主など関係者との交渉が長期化し、取得が容易でない場合
  4. 上記 (1)〜(3) に準ずる事情がある場合

これらの事情で取得が遅れる場合、譲渡した年の翌年12月31日後2年以内に税務署長が認定した日まで買換資産の取得期間を延長できます。

3.特定非常災害による期間延長

特定非常災害に基因するやむを得ない事情がある場合、さらに取得期間が延長されます。

  • 取得指定期間の末日後2年以内の範囲で税務署長が認定した日まで延長が可能

ここでの「特定非常災害」とは、特定非常災害特別措置法 第2条1項に基づき指定された災害を指します。

4.取得期間延長を受けるための手続き

取得期間の延長(税務署長の承認)を受けるには、譲渡した年分の所得税申告時に、以下の内容を記載した「やむを得ない事情がある場合の買換資産の取得期限承認申請書」を所轄税務署長へ提出する必要があります。

申請書に記載すべき内容

  1. 申請者の氏名・住所
  2. 取得が困難である「やむを得ない事情」の詳細
  3. 買換資産の取得予定年月日および認定を受けようとする日
  4. その他参考となる事項

まとめ

事業用資産の買換え特例は有効な節税手段ですが、取得期間の管理が最重要ポイントです。
計画通りに取得できない場合でも、やむを得ない事情が認められれば延長が可能なため、状況に応じて早めに税務署や専門家へ相談することが大切です。